[検証編]
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[V7] 八木選手の「幻のホームラン」について
この件について詳しく知りたい方は、打球を判定した平光清さんの本
『審判失格』を参考にしてください。
1992年9月11日の阪神対ヤクルト戦(甲子園球場)の同点の9回裏二死一塁で、
八木選手の左翼越えの打球が一旦ホームランと判定されましたが、
二塁打に変更されました。試合はそのまま延長戦になり、史上最長の
試合時間となる6時間26分の末に延長15回引き分けになりました。
以下に要点を簡単に述べます。
(外野のフェンスとその上に張られている金網を合わせて壁と呼ぶことにします。)
八木選手の打球は、外野の壁の中腹のフェンスの上部に直接当って上に跳ね、
そのまま金網をかけ登るように壁を越えて観客席側へ落ちました。
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観 | |ンス
客 〜 〜
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ンド
ルールには、打球が in flight の状態でフィールドの外に出たらホームラン、
地面に触れてバウンドしたり、フェンスを突き抜けたら二塁打、
と書かれています。
壁の最上部に当たってスタンドに入った場合はルールには書かれて
いませんが、判例によってホームランと解釈することになっています。
問題の打球のように、壁の途中に当たってからグラウンドに触れずに壁を
越えた場合についてはルールにも書かれていないし、過去の判例も、
審判内での申し合わせもありませんでした。
初め平光審判はこれをホームランと解釈して判定しましたが、その時の
審判団の判断によって、その場は二塁打とすることになったのです。
二塁打をホームランと見誤って判定したのでは「ありません」から注意してください。
この時点では解釈が定まっていなかったので、一旦ホームランとした判定は
「誤審」とは「言えません」。
余談ですが、これは純粋にルールの解釈の問題ですから、この判定には監督が
抗議する権利があります。(逆に本当はこういう場合しか抗議する権利はない)
またこの試合はやらなかったのですが、提訴試合にすることも可能だったはず。
もし提訴していて、連盟がホームランという解釈を示したならば、
サヨナラホームランで阪神の勝ち、ということになることもありえました。
その後これが判例となって、プロ野球ではこのような打球は二塁打とする
ことになったのですが、アマチュア野球側はホームランとすべきと主張。
結局1994年1月8日のプロ・アマ合同規則委員会では、このように壁の中腹に
当たってそのままスタンド・インした場合は、アマでは本塁打、
プロではエンタイトル二塁打、という異なった解釈をすることになり、
これが2001年まで続きました。
2002年からアマでも二塁打と解釈することになり、ようやく統一されました。
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