ネット野球ファンの日米野球用語集 Glossary of Japanese/American Baseball Terms for Net Baseball Fans English 日本語(和製英語や英語と違う用法を含む) ...................................................................... [A] at bat 打数、打席に入っていること Astro turf, artificial turf 人工芝 [B] backstop バックネット back to back homeruns 連続ホームラン (アベックホームランはチームの中心打者二人 (普通は三・四番か四・五番)が同じ試合に ホームランを打つことで、連続とは限らない。) Baltimore chop 高くはずんだ当たり、いわゆる人工芝ヒットに なることが多い(天然芝の場合でもホームベースに 当たるとこうなる) bad control ノーコン ballgame 試合 ballpark 野球場、スタジアム banting for a base hit セーフティバント base bag ベース(本塁を除く・plate参照) bases empty 走者なし bases loaded フルベース、満塁 bases-loaded walk 押出しの四球 base on balls フォアボール、四球 batter's eye (screen) バックスクリーン batting average 打率 batting practice pitcher バッティングピッチャー blooper (hit) (フラフラと内野の後ろあたりに上がった)フライ。 (ポテンヒットになる事もある。Texas Leaguer参照) blow a fastball past (batter) 剛速球で(打者)空振りを取る blown save セーブ失敗 bottom 裏 breaking ball 変化球 bunt with two strikes スリーバント [C] called strike 見送りのストライク carom ball クッションボール caught stealing 盗塁に失敗する checked swing ハーフスイング cleanup hitter 四番打者 closer リリーフエース clutch hit 試合の中でここぞという場面に出たヒット clutch hitter チャンスに強い打者 come-backer ピッチャー返し come home ホームイン curveball 遅いカーブ、縦に割れるカーブ (一回上に上がってから落ちる球) [D] dead ball (プレー一時中止で)活きていない球 (死球は hit by pitch) designated hitter (DH) 指名打者 disable list 故障者リスト division 地区 double 二塁打、ツーベースヒット double play ゲッツー、併殺 [E] earned run 自責点 earned run average 防御率 end ある回の裏と次の回の表の間 exhibition game オープンゲーム、オープン戦 extra-base hit 長打 [F] fan 三振させる fastball 速球/直球(日本では「スライダー」や「シュート」 と呼ばれるような球もあまり変化が大きくない時は こう呼ばれることが多い。"sinking fastball"参照) fielder's choice 野手選択、フィールダーズチョイス (他の塁への送球の間に塁に達したり進塁したりする ことを全て含む) [G] games behind (GB) ゲーム差 game ending homer サヨナラホームラン game winning homer 決勝ホームラン(試合の最後の方で出た決勝点 となるホームラン) go-ahead run 勝ち越しの一点、得点すれば勝ち越しになる走者 grand slam 満塁ホームラン grounder, ground ball ゴロ ground-rule double エンタイトルツーベース [H] ham and egg reliever 敗戦処理投手 headfirst sliding ヘッドスライディング hit-and-run ヒットエンドラン hit by pitch 死球、デッドボール hit to the opposite field 流し打ち hitting streak 連続試合安打 [I] inning 回 innings pitched 投球回数 inside 内角 inside corner 内角低め、インロー inside the park home run ランニングホームラン intentional walk 敬遠の四球 interleague play 交流試合(American League と National League の) [J] jam (投手が打者を)つまらせる Japanese World Series 日本選手権・日本シリーズ [K] K 三振 [L] last 裏 lead-off man 一番打者、回の先頭打者 left on base (LOB) 残塁 line drive ライナー [M] manager 監督 meat of the batting order クリーンアップトリオ(三番から五番まで) cleanup hitter も参照 mercy rule (点差による)n回コールド(ゲーム) Atlantaオリンピックでは7回以降10点差で試合終了 この場合 10-run rule とも。 miles per hour (MPH) 時速マイル(1マイル = 約1.6km) middle 表と裏の間 [N] night game ナイター no-hitter 無安打試合(日本でのノーヒットノーラン試合と 違い、点を取られても記録になる) number (on uniform) 背番号 [O] on base 出塁している on base percentage 出塁率 on deck batter's circle ウェイティングサークル one and two ツーワン、ツーストライクワンボール (one ball, two strikes) one-hop ワンバウンド one-handed catch シングルキャッチ outside 外角 outside corner 外角低め、アウトロー [P] perfect game 完全試合 peppergame トス・バッティング pick off 牽制球でアウトにする pitch 投球 plate ホームベース play catch キャッチボール post season 公式戦後に行なわれるPlayoff,World Seriesの総称 [Q] [R] reach (どんな理由であれ)塁に出る regular season 公式戦 runs batted in 打点 RBI basehit 適時打、タイムリーヒット RBI double 適時二塁打 RBI triple 適時三塁打 roster 登録選手名簿 rubber 投手板(plate参照) run 得点 run-down 狭殺プレー、ランダンプレー run walked in 押し出しの一点 [S] sacrifice hit, sacrifice bunt 犠打、バント sacrifice fly 犠飛 screwball スクリューボール (カーブと逆に曲がるボール。今の英語では左右の 区別がないが、元々は左腕投手だけの用語という 説があり、日本でもそれが通説になっている) setup man リリーフエースの前(通常8回)を投げる投手 sinker シンカー sinking fastball ホームの直前で小さく沈む速球 (実際の変化は日本で言うシュートと同じ) slider スライダー、速いカーブ (落ちる球でも投手の 手からまっすぐ出てくる場合はこう呼ぶ) slugger 強打者 slugging average (percentage) 長打率 solo home run ソロホームラン split finger 人指し指と中指を開いて投げる投球 (開け方が大きければフォークボール、 小さければ split fingered fast ball) (suicide) squeeze play スクイズ standings 順位表 Standup double スタンディングダブル(滑り込まずにゆうゆうと 二塁でセーフになる二塁打) stolen base 盗塁 streak 連続 strike-out 三振 swings and misses 空振り swinging strike-out 空振りの三振 strike out the side 一イニング三奪三振 [T] tag up タッチアップ、リタッチ tagged out タッチアウト take a pitch (球を)見送る take two ダブルプレーにする Texas Leaguer テキサス性ヒット、ポテンヒット throw 送球 throw out (審判が誰かを)退場にする throw out (捕手が盗塁の走者を)アウトにする top 表 triple 三塁打、スリーベースヒット triple play 三重殺 tying run 同点の一点、得点すれば同点しになる走者 [U] unearned run (自責点にならない)失点 umpire 審判 (1st, 2nd, 3rd) base umpire (一・二・三)塁審 plate umpire 主審 [V] [W] walk フォアボール、四球 wall フェンス warning track 外野のフェンス前3メートルくらいで芝生が なくなっているところ(上を向いて飛球を追っている 外野手がフェンスまでの距離を足の裏で感じられる ようになっている) win at last at-bat, sayonara サヨナラ勝ち World Series 米国選手権 [X] [Y] yawner つまらない試合(あくびが出るから:) [Z] Memorable phrases the announcer frequently uses 印象に残ったアナウンサー用語 It's outta here! (スタンドに)入ったー! Majestic 素晴らしい (高々と上がった立派なホームランを形容する言葉) (The ball is) off the wall (打球が)ダイレクトでフェンスに当たる Wow, he smoked that one ひゃー、すげー当たりだ So long, everyone! ごきげんよう Sorry folks, we will bring you the regularly scheduled progrms.... まことに申し訳ないんですが、 放送時間の関係で...。 (だたし、実際には必ず試合終了まで 放送されるので、使われることはない We will telecast in its entirety.) ◆ 投手の記録 G Games 登板 GS Games Started 先発 文字通り先発した試合数で、CG(完投)を含む。 日本では代わりに試合当初が使われており これには完投を含まないので注意。 つまり (先発)=(試合当初)+(完投) である。 CG Complete Games 完投 GF Games Finished 試合終了投手/交代完了 SHO Shutouts 完封 W Games Won 勝利 L Games Lost 敗戦 Pct. Won-Lost/Win-Loss/Winning Percentage 勝率 SV Saves セーブ IP Innings/Innings Pitched 投球回数 H Hits 被安打 TBF/BF/BFP Batsmen Faced 対戦打者数 R Runs 失点 ER Earned Runs 自責点 ERA Earned Run Average 防御率 HR Home Runs 被本塁打 SH Sacrifice Hits 被犠打 SF Sacrifice Flies 被犠飛 HB Hit Batsmen 死球 BB Bases On Balls 与四球 TBB Total(?) Bases on Balles 四球計 IBB Intentional Bases On Balls 敬遠四球 SO/K Strikeouts 奪三振 WP Wild Pitches 暴投 BK/BLK Balks ボーク . Game Won, Consecutive 連続勝利 . Game Lost, Consecutive 連続敗戦 WP Winning Pitcher 勝利投手 #P/#Pit Number of Pitches 投球数 ◇ 打者の記録 G Games 試合数 PA Plate Appearances 打席 AB At Bats 打数 H Hits 安打 . Singles 単打 2B Doubles 二塁打 3B Triples 三塁打 HR Home Runs 本塁打 TB Total Bases 塁打 AVG/BA Batting Average 打率 SLG/SA Slugging Percentage/Average 長打率 OBP On-Base Percentage 出塁率 BA ScPos Batting Average withRunners in Scoring Position 得点圏打率 RBI Runs Batted In 打点 GWRBI/GW-RBI Game-Winning Runs Batted In 勝利打点 R Runs 得点 SH Sacrifice Hits 犠打 SF Sacrifice Flies 犠飛 HP/HBP Hit By Pitch 死球 BB/W Bases On Balls/Walks 四球 IBB Intentional Bases On Balls 敬遠四球 SO/K Strikeouts 三振 SB Stolen Bases 盗塁 CS Caught Stealing 盗塁刺 GDP/GIDP Grounded Into Double Play 併殺打 . Longest Batting Streak/hitting streak 連続試合安打 ◇ 守備の記録 G Games 試合 GS Games Started 先発 Inn Innings 回数 TC Total Chances 守備機会 PO Put Outs 刺殺 A Assists 補殺 E Errors 失策 DP Double Plays 併殺 FA/Avg/Pct. Fielding Average 守備率
頭文字を取って "S" と略記すると、Steal や Sacrifice などと紛らわしく なるので、文字的にも発音的にも目立つ "K" の文字を取ったのだと言われています。 (ボックススコアの考案者である Henry Chadwick だったという説もあります)
(knock out は打者が投手を KO という場合に使う)
(英語に画数の概念があるというのは大いに疑問)
(これはローマ字からの連想で明らかに間違い。空振り三振は swinging strike out)
野球規則では、「本塁から投手板を経て二塁に向かう線は、東北東に向かって いることを理想とする」と定めています。
参考: 規則1.04
球場がこの通り作られていると、投手を中心にして大体、中堅方向が東、 本塁方向が西、三塁方向が北、そして一塁方向が南ということになります。 左腕投手は腕が南の方角から出てくるので"southpaw"となるわけです。
初期の野球では、1チームの人数は一定ではありませんでした。 (1845年に New York の Knickerbocker Base Ball Club の Alexander Cartwright が、 現在の野球の基になるルールを作った時点でも人数はまだ不定でした。 1857年に改定されたルールから9人というのが明記されています。)
1830年代ごろに、10人から12人程度で行なわれていた野球での守備の内分けは、 投手が1人、捕手が1人または2人、内野手が5人、外野手が3人または4人でした。 内野は、一塁手、二塁手、三塁手、がそれぞれのベース付近に位置してました。 投手の後ろの両サイド、ダイヤモンドの内側に、内野手がもう二人位置していました。 その内野手のことを、打球を短く止める役割の意味で short fielder または shortstop や shortman などど呼んでいました。
その後、人数が9人に減らされる時に、投手の後ろの内野手が1人だけになり、 shortstop という名前で固定されました。 なお、この時点では1人になっても守備位置は依然として投手の後ろでした。
その後に一、二、三塁手がベースを離れ、shortstop が二塁手と三塁手の間に 位置する現在の形になっても、名前だけはそのまま残ったというわけです。
参考: <KAGESAWA.97Nov4200610@b3.cvl.iis.u-tokyo.ac.jp>
Total Baseballでは、ショート(現在と同じ位置:投手の横にいるプレイヤーとは 別らしい)は内野というより浅い外野と考えられていたそうです。 当時のボールは軽すぎてあまり遠くまで投げられなかったので、 外野と内野の中継役が必要だった…というようなことが書いてあります。
Total Baseball や The Dickson Baseball Dictionary によれば、 元々は short fielder で、それが 1860年代にその役割にふさわしい 名前である shortstop に変わったそうです。後者によれば、 shortstop という言葉が最初に使われたのは 1860年で、short field という用語は 1854 年の Knickerbocker Rules で使われているそうです。 残念ながら Total Baseball には 1854年の Knickerbocker Rules の全文 は載っていないので確認できません(意味は二三塁間の現在のショートが 守る位置とのこと)。
Total Baseball によれば 1849年か1850年に "Doc" Adams という人が、 最初に現在のショートの位置を守ったそうです。 ただ、その役割は shortstop ではなくて、あくまでも short fielder だったそうです(と、ここまでは、現在のショートの定位置につく選手の話 だと思います)。
1846年 6月19日の試合の様子を描いた絵(版画?)によると、二三塁間 わずかに内にはいった場所に「前進守備」のショートらしき人がいるので、 short field は塁間の線より外を指すものと思われます。
順位表の例をもとに説明します。
首位との すぐ上との 順位 チーム 勝 負 分 勝率 ゲーム差 ゲーム差 1 Apes 58 38 2 .6042 - - 2 Beagles 61 40 0 .6040 - - 3 Cats 62 41 0 .602 - 0.0 4 Doves 40 60 1 .400 20.0 20.5 4 Eagles 42 63 0 .400 20.5 0.5 6 Falcons 41 62 3 .398 20.5 0.0
勝数 勝率 = ------------ 勝数 + 負数引き分けが計算から除かれるため、試合数が同じでも(勝数+負数)が同じとは限らず、 そのため勝数が一番多くても勝率が一番高いとは限りません。
また、上の例の Doves と Eagles のように、勝率が同じならば勝数、負数に関係なく 同じ順位になります。
同じ順位のチームのどれを順位表で上にするかというのには、決まりはありません。 ゲーム差(後述)、並ぶ直前の順位、勝ち数、試合数、前年の順位など、 表の作成者がそれぞれ独自の基準を設けて決めています。
公式戦終了後に同率1位のチームが複数ある場合、 日本プロ野球ではプレーオフを行なって優勝チームを決定します。 ただしこれまで一度も行なわれたことはありません。 2チームの場合は、3試合制(2試合先勝)で行ないます。 3チームの場合は、別途協議することになっています。
2002年のセ・リーグはこれに加えて、勝率1位のチームより 2位のチームの勝利数が上回った場合もプレーオフを行なって優勝チームを決定します。
その他で順位をつけることが必要な場合は 前年の順位で便宜上順位を決めることがあります。 例: 翌年の開幕試合の開催権やドラフトの指名権など。
順位が上のチームをA、下のチームをBとした場合(同じ順位ならどちらでもよい)、 ゲーム差は以下の式で計算します。
(Aの勝数 − Bの勝数) + (Bの負数 − Aの負数) ゲーム差 = -------------------------------------------- 2 (Aの勝数 − Aの負数) − (Bの勝数 − Bの負数) = -------------------------------------------- 2 Aの貯金 − Bの貯金 = ------------------ 2Aチームが勝ってBチームが負けると、1ゲーム差が開きます。 Aチームが負けてBチームが勝つと、1ゲーム差が縮まります。 両方が勝った、あるいは両方が負けた場合はゲーム差は変わりません。
日本で使われている順位表には、首位チームとのゲーム差を表記する、 すぐ上のチームとのゲーム差を表記する、の二種類の方式が混在しています。
勝ち負けの合計が同じ場合は、ゲーム差は順位を表すことになります。 大リーグは通常最終的な勝ち負けの合計が試合数と同じになるため、 これにあてはまります。
一般には、試合消化数や引き分けの数が違うために、勝ち負けの合計が同じには ならず、ゲーム差は目安に過ぎません。以下のような現象が起こることがあります。
(1)ゲーム差が0であっても勝率が同じとは限りません。 上の例の Beagles と Cats、Eagles と Falcons を参照。
(2)勝率が同じでもゲーム差が0とは限りません。 上の例の Doves と Eagles を参照。
(3) 勝率とゲーム差で逆転現象が起きることもあります。 上の例の Apes は貯金が +20 で、Beagles と Cats は貯金が +21 です。 Apes と Bengals のゲーム差、Apes と Cats のゲーム差を計算すると それぞれ -0.5 になるので、Apes がリードされていることになります。 この場合も順位は勝率で決定するので、Apes の順位が上になります。 この場合順位表のBチームのゲーム差の欄には -0.5 とは書かれずに 例のように - (横棒)が書かれていることが多いようです。
2001年は日本プロ野球のセ・リーグは引き分けは再試合を行なわず、 以下の順で順位の表記順を決定していました。 公式戦終了時で全チームの消化試合数は同じなので、(3)はシーズン中のみです。
(1) 勝利数(多い方が上)
(2) 勝率(高い方が上)
(3) 消化試合数(少ない方が上)
(4) 前年の順位(上位が上)
公式戦終了時点で勝利数一位のチームとは別に勝率一位のチームが出た場合に限り、 3試合制(2試合先勝)のプレーオフを行なって優勝チームを決定することに なっていましたが、該当チームはありませんでした。
その他の記述について規定はないので、ゲーム差やそれに代わるものを 表記するのかどうかは順位表を作る側にまかされました。 しかし途中の順位と最終順位への有利・不利とが一致しない現象が数多く生じ、 またゲーム差以上に適切な目安はほとんど示されなかったため、 実態を示さない順位表ばかりでした。
すれば他チームの成績によらず優勝できること。
全勝しても他チームの成績によっては優勝出来ない場合があること。
次にリーグ所属のどのチームにもある時点で自力優勝不可能となることは ありません。
これを踏まえて、リーグ所属のある1つのチーム(Aチーム)が自力優勝可能であり、 優勝可能性のある他のどのチームも自力でAチームの勝率に追い付くか 上回ることができないときに、Aチームにマジックナンバーが点灯します。 Aチームとは多くの場合首位にいるチームですが、下位チームでも可能です。
Aチームにマジックナンバーが点灯している場合は、他の全てのチームは 自力優勝不可能になっています。
Aチームだけが自力優勝可能で、他の全てのチームは自力優勝不可能であっても、 Aチームにマジックナンバーが点灯しないこともあります。 Bチームが自力でAチームの勝率に追い付くか上回ることができるのに、 自力優勝不可能なCチームを自力で上回れないために、 Bチームも自力優勝不可能となる場合があるためです。
次にマジックの計算法です。仮にリーグ所属がA〜Fの6チームとして、Aのみ自力 優勝可能で、B〜Fは自力優勝不可能とします。このとき仮定により、AはBとの残 り試合に全敗してもC〜Fとの残り試合に全勝すれば、BがC〜Fにも全勝しても、 少なくともBよりは勝率が上になります。そこで、Bが残り全勝しても、Bより上位 で終るためにC〜Fとの残り試合で最低何勝挙げればよいかを計算し、その最低勝 ち数を仮にBに対するマジックと呼ぶことにしましょう。BをCにおきかえても同じ ことが言えますから、同様にCに対するマジックを計算します。D〜Fについても 同様に求めます。B〜Fに対するマジックの中で最大のものをその時点での 優勝マジックといいます。あるチームに対するマジックが優勝マジックと等し いとき、そのチームをマジック対象チームと呼びます。マジック対象チームは 複数のときもあれば、時間とともに変わることもあります。
優勝マジックだけ勝てば、その構成法により、どのチームよりも上位で終るのです から、まさしく「あと何勝すれば優勝できるか」を表す数に等しくなります。 ただし、1チームを除いて他のどのチームも自力優勝できない場合に限ります。
また、マジック点灯チームが必ずしも首位チームでないのと同様に、マジック対象 チームも2位チームとは限りません。
よく解説者が開幕時に、「(140試合制なら)マジック140のつもりで戦え」 なんてことを言いますが、これは2重の意味で誤りです。 まず開幕時にはどのチームも自力優勝の可能性があり、 直接対決により相手チームが負けることを考慮すれば、全勝の必要はありません。
このマジックナンバーは、「自力優勝」に主眼が置かれているため、 優勝への有利さを示す数字としては万能ではありません。 簡単な例として以下の欠点があります。
どちらのチームにも自力優勝の可能性があるためマジックナンバーが点灯しない。 つまりどちらのチームが有利なのかをマジックナンバーで示せない。
残り試合を全勝すると仮定し一番上になるチームにマジックナンバーが点灯する。 残り試合に大きな差がある場合、現実にそれだけ勝つのが困難な下位チームに マジックナンバーが点灯することがあり、数字上の有利/不利と一致しない。
magic number とは、「首位のチームが地区またはリーグ優勝するために必要な 首位チームの勝数と2位チームの敗数の和」であり、計算方法は
magic number = (2位チームの勝数)+(2位チームの残り試合数) −(首位チームの勝数)+1
この定義によると、大リーグの162試合制でのシーズン当初のマジックは 163 に、 日本プロ野球の140試合制でのシーズン当初のマジックは 141 ということになります。 2位チームの負け数が計算にはいっているところがミソです。
また、この定義では、あるチームが全日程を終えて、他のチームの結果を 待っている場合でも待っているチームにマジックがでていることになります。
さらに、定義を自然な方法で拡張すれば、優勝の可能性がある限り マジックが点灯していることになります。
もちろん、マジックは、シーズン終盤で優勝を決定するために使うものである、 ともかかれています。 さらに、この用語やコンセプトは(メジャーの歴史に比べて)最近の もの -- 1940 年代か多分それより少し以前だろう --- とあります。
大リーグ式のマジックナンバーは、2001年セ・リーグで「勝数1位」のチームを 決定するためのマジックナンバーとほぼ同じです。また、通常は「勝率1位」 のチームを決定するマジックナンバーとも似ています。 最初に、これらのマジックの簡単な計算方法を示します。
(2001年セの勝数1位を決定するマジックナンバー計算方法) 自チーム以外の全チームに対し
(相手チームの勝数)+(相手チームの残り試合数) −(自チームの勝数)+δ ...(*)
(ここで、δ= 0 if (自チームの引分数)> (相手の引分数), = 1 if (自チームの引分数)<=(相手の引分数))
で計算される数が、(残り試合)-(相手チームとの残り対戦数) 以下である場合、 (*)の最大値が勝数1位のためのマジックとなり、最大値を実現する チームがマジック対象チームとなります。
(勝率1位を決定するマジックナンバー計算方法) 計算方法は既に述べたように、簡単ではありません。ただし、以下の 条件が成立する時には、引分けを 0.5勝0.5敗とし、同成績の場合は 引分数が多いチームの勝ち、として簡単な計算でできます。すなわち、
『どの2つのチームも引き分け数の差が 6 以内であって、優勝チームの勝率が 6割に達しない場合か、または、どの2つのチームの引き分け数も差が 4 以内 で、優勝チームの勝率が .666以下の場合(92勝46敗2分で丁度 .667)』(条件A)
である時、自チーム以外の全チームに対し
(全試合数)-(自チームの勝数)-(相手チームの敗数) -{(自チームの引分数)+(相手チームの引分数)-δ}/2 ...(**)
=(相手チームの勝数)+(相手チームの引分数)/2+(相手チームの残り試合数) -(自チームの勝数)-(自チームの引分数)/2 + δ/2
(ここで、δ= 0 if (自チームの引分数)> (相手の引分数), = 1 if (自チームの引分数)<=(相手の引分数))
で計算される数を整数に切り上げた数が、
(残り試合)-(相手チームとの残り対戦数) 以下である場合、
(**)の最大値が勝率1位チームを決定するマジックとなり、(**)の最大値を 実現するチームがマジック対象チームとなります。
※1988年以降(延長12回まで(または4時間以上)試合をするようになって以降) 『 』内の条件Aが成立しなかったのは、1995年パ(オリックスの最終勝率 .636、 オリックスは1分、3位西武が6分)、1989年セ(ジャイアンツ .656、2位広島が 6分、5位阪神が1分)の2回しかありません。勝率 .600以上 .667未満で優勝を 争っており引分け数の差が5場合は、(**)でのδの値が =-1, =2 と修正されます。
いずれの場合も、「負け数」が一番少ないチーム(勝数方式では引分けは負けと同じ、 すなわち、「負け数」=「負け数」+「引分数」と考え、勝率方式では引分けは 0.5敗、 すなわち、「負け数」=「負け数」+「引分数」/2と考えます)にマジックが点灯します (ただし、条件Aが成立しない時の勝率方式についてはこうならない場合もあります)。 この時、マジック対象チームは通常 2番目に「負け数」の少ないチームになります (残り対戦試合数によって変わりえます)。
これまで述べたことから、2001年セ・リーグでプレイオフなしで優勝するための マジックの計算もできます。つまり、勝数、勝率の両方でマジックが出る場合に、 その最大値が完全優勝のマジックとなります。実は、自チームより引分数が多い チームに対しては勝率1位マジックの方が大きくなり、引分数が少ないチームには 勝数1位マジックの方が大きくなります。 特に、2001年セ・リーグのシーズン終盤でマジック点灯チームがある時、マジックの 計算は、マジック点灯チームの引分数がマジック対象チームの引分数より多いか 等しい場合は、大きい方の勝率1位マジック(**)で(ただし条件 A が成立する時)、 そうでない場合は大きい方の勝数1位マジック(*)で計算すればOKです。
例: A 76勝54敗2分 残 8 B 75勝55敗 残10 で、A,B の直接対決の残りなし、A,B 以外のチームには優勝可能性は ないものとします。
Aチームにマジックが出ているか調べて見ましょう。Aの引分数の方が Bより多いので(*)で計算したマジックの方が大きくなるはずです。 実際に計算すると (*) 75+10-76+0 = 9 (**) 140-76-55-(2+0-0)/2 = 140-76-55-1=8 となります。これが(残り試合)-(残り対戦数)=8-0=8 以下ならマジック 点灯です。9>8 だからセの勝数方式では A チームにマジックは出て いませんが(実は Bチーム にマジック10が出ています)、勝率方式では、 マジック8が出ています。したがって、セ方式では Aにも B にもマジックは 出ていません。パ方式では A チームにマジック 8 が出ています。 なお、もし A チームの成績が 77勝53敗2分ですと、(*)の値=8, (**)の値=7 となって、セ方式で Aチームにマジック8 が出ていることになります。
なお、2チームの引分数が同じ場合は、(*),(**), 大リーグ式マジックの 3つはどれで計算しても同じになります。
以下、この項では「勝数1位」で優勝チームを決定する方式を「勝方式」、 勝率1位で決定する方式(2001年セの勝率1位を含む)を「率方式」と呼ぶことにし、 マジックの性質を述べます。特に記述がなければどの方式にも共通です。
(マジックの性質)
また、消滅中も水面下で点灯時と同様に減りつづけます。特に マジックが再点灯した場合、消滅直前の数より小さくなります。
以外は、ちょうど1だけ減ります。ただし、極端な場合はまったく減らない 場合も、2以上減る場合もあります。
同じ勝数の場合、引分数の少ないチーム(勝率の高いチーム)が上位に なるという点が違います。したがって、マジック対象チームが1つ 引き分けると、通常マジックは1つ減ります。例外は引分けた結果マジック 対象チームの引分数とマジック点灯チームの引分数が同じになった場合で、 この時、マジックは減りません。マジック点灯チームが引分けても、 通常マジックは減りませんが(マジック消滅もありえます)、例外として、 マジック点灯チームとマジック対象チームの引分数がすべて同じ時に マジック点灯チームだけが引分けた場合、マジックが1減ります。なお、 マジック点灯チームとマジック対象チームがいずれも引分けた場合は、 マジックはちょうど1減ります。
0.5 、マジック対象チームが引き分けても約 0.5 減ります。そのため 整数に切り上げる時に、減ったり減らなかったりします。
マジックは2減ります(「勝方式」ならちょうど2、「率方式」なら普通2)。
直接対決以外で、対象チーム(の1つ)が勝って点灯チームが負け(又は引分け)た 結果、消える可能性があることが(*)の式からわかります。「率方式」でも 大体同様です。すなわち、マジックが点灯したばかりの時に、直接対決以外で マジック点灯チームが負けて対象チームが勝つとマジックは消えます。