また1999年6月12日に、阪神の新庄が敬遠の投球を打ってサヨナラ安打にした時、 左足がホームプレートを踏むほど外へ出ています。
バッターボックスから足が出た場合、アウトにはならないのですか。
ルールには「打者が片足または両足を完全にバッターボックスの外 に置いて打った場合、打者は反則行為でアウトになる(規則6.06(a))」とあり、 足の一部が出ていただけではアウトになりません。 ライン上はバッターボックスの中と規定されているので(規則6.03【付記】)、 ラインを踏んでいるのであれば足が出ていることにはなりません。
またホームプレートを踏んでいるかどうかは関係なく、 ラインから足が完全に出ているかどうかだけで決まります。
以上のことから、イチローも新庄もラインを踏んではいるものの ラインの外に足は完全に出ているわけではないので、アウトにはなっていません。
例えば、ボール球を空振りしそうになったがこらえてその拍子にボックス から出てしまったり、思わず空振りしたような光景をよく見かけますが、 規則6.06(a)【原注】に、「この項は打者がボックスの外に出てバットにボ ールを当てた(フェアかファウルを問わない)とき、アウトを宣告されること を述べている」とあるので、罰則はありません。
規則6.06(a)【原注】に、「打者は打者席から跳び出したり踏み出したり して投球を打つことは許されない」とありますが、実際にはジャンプする 時点で両足がバッターボックスの中にあれば、ボールがバットに当たった 後にバッターボックスの外に出ていても反則にしないことになっています。
通常は打者はアウト(反則打球)、走者は元の塁に戻ります。 スクイズ等で三塁走者が本塁へ向かっている場合に限り、三塁走者がアウト、 他の走者は元に戻り、投球はノーカウントにして打者の打撃を続行します。
確かに規則8.01(a)に、「実際に投球するときを除いて、どちらの 足も地面から挙げてはならない。ただし、自由な足(軸足でない足)を一歩 後方に引き、さらに一歩前方に踏み出すこともできる」とあります。
しかし規則2.38によれば、反則投球とは、(1) 投手が軸足を投手板に触れ ないで投げた打者への投球; (2) クイックリターンピッチ の2つを言い、 走者がいるときはボークになります。
そもそも投球時に投手は軸足を投手板から離してはいけないことになって いて(規則2.38)、自由な足については、
す(いわゆるロッキングモーション)ことができる。(規則8.01(a))
にあって、ストレッチ(セットポジションの準備運動)のときに、自由な 足を挙げることは認められてない。(規則8.01(b))
つまり、規則2.38の大前提を忘れて、8.01(a)を読んで、「実際に投球す る時はどちらの足も挙げてよい」と解釈する人がいたということですね。
ワインドアップから投げる時は、自由な足を挙げる時に軸足が約90度回転 しますが、最後まで投手板に軸足が触れてないと反則投球になります。大 回転魔球は、投げるとき軸足が地面から浮いてますから反則です(規則2.38)。
また、回転する途中で投げている点(つまりどこを向いてるのか不明な点)も 明らかにルール違反です。大回転魔球は自由な足が(回転しているので)投手 板の後縁を横切ってますから、(二塁に牽制球を投げる以外は)打者に対する 投球動作とみなされます(規則8.05(a))。従って、本塁に向かって足を踏み出 し(規則8.05(c))、打者に対面して(規則8.05(f))、打者に投げる必要があり ますが、大回転魔球はその条件を満たしてません。
規則8.02(a)(5)に投手の禁止事項として、「ボールを傷つけること」とあり ますが、握力で変形させることはこれに該当しません。従って、分身魔球は 正規な投法ということになります。
ただし投球動作を考えると問題がありそうです(特にTVアニメ版)。 自由な足をまず踏み出し、ボール持った左手を打者に向けたところで一旦停止、 ボールを変形させたところから改めてモーションを起こして投球。 これは一連の投球動作には思えませんが、分身魔球の本質とは関係ない ことであるので、検証は略します。
この状況を理解するにはアピールアウトの[Q1-4]を参照してください。 ポイントは以下の点です。
(1)一塁走者山田のアウトはフォースアウトではないので それまでに本塁を踏んでいた岩鬼の得点は認められている
(2)フライが捕られたので岩鬼は三塁へ戻らなければならないが アウトにするためにはアピールが必要
(3)アピールアウトを第三アウトと置き換えて得点を取り消すことが可能
(4)アピールの権利には時効がある
このケースは(1)の通り第三アウトがフォースアウトではないので、 既にホームを踏んでいた三塁走者岩鬼の得点は、その時点では認められています。
ここで(2)の通り三塁走者に対してアピールをすればアウトにでき、 得点を取り消すことができました。 この場合は(3)のように岩鬼の第四アウトを山田の第三アウトと 置き換える形になります。
しかしこのケースでは守備側が三塁走者の得点に気づいたのは 投手と内野手がベンチに引き上げた後でした。(4)の通り既にアピール権が 消滅しており手遅れで、岩鬼の得点がそのまま確定してしまいました。
「安打、・・・がなく」かつ「1人の走者も許さないとき」が条件なのか、 「安打、・・・がなく」が「1人の走者も出さない」ということを説明して いると解釈するかで事情が変わってきます。
また、完全試合というものが、投手に記録されるのか、チームに記録され るのかによって違ってきます。後者なら、チームとして失策が1つあるので 完全試合とは認められなくなりますね。ただし、継投による無安打無得点 試合(ノーヒットノーラン)を記録に残さないことを考えると前者と採る 解釈も考えられます。
そこで、セントラル野球連盟(03-3572-1673)に電話して聞いてみました。 ルール委員のある方の話をまとめると次のようになります。
「1994年の槙原の完全試合に関連して、この種の質問の電話が何件かあっ たが、ルールとしては決まってない。もしそれに該当するケースが出てき たら公式記録員だけじゃなく会長など上の方とも相談して決めることにな るだろう。だから現在は完全試合になるのか、完全試合ではないけど投手 としては完全試合と同等ということになるのか、決まってない」
さらに、「投手としては完全試合と同等」とは詳しくはどういうことかと 尋ねると、未だ決まってないからあくまで私見と断った上で、「投手と野 手の記録としては完全試合ではないが、投手としては27人抑えており完全 試合と同等という意味である」との答が返ってきました。
またこれとは別に、パシフィックリーグ記録部からいただいた情報では、 「途中、邪飛の失策があっても完全試合は成立することが、 1981年のセ・パ記録部申し合わせ事項で確認されている。」 ということになっているそうです。
以上のことから、日本プロ野球では、 「ファウルフライを落して失策がついても完全試合は成立する」 としてよいことになります。
1992年9月11日の阪神対ヤクルト戦(甲子園球場)の同点の9回裏二死一塁で、 八木選手の左翼越えの打球が一旦ホームランと判定されましたが、 二塁打に変更されました。試合はそのまま延長戦になり、史上最長の 試合時間となる6時間26分の末に延長15回引き分けになりました。
以下に要点を簡単に述べます。 (外野のフェンスとその上に張られている金網を合わせて壁と呼ぶことにします。)
八木選手の打球は、外野の壁の中腹のフェンスの上部に直接当って上に跳ね、 そのまま金網をかけ登るように壁を越えて観客席側へ落ちました。
__ / \ ○ # | #/ 打球 金#\ / 網# \/ +--#--+フェ 観 | |ンス 客 〜 〜 席_|_____|______ グラウ ンド
ルールには、打球が in flight の状態でフィールドの外に出たらホームラン、 地面に触れてバウンドしたり、フェンスを突き抜けたら二塁打、 と書かれています。 壁の最上部に当たってスタンドに入った場合はルールには書かれて いませんが、判例によってホームランと解釈することになっています。
問題の打球のように、壁の途中に当たってからグラウンドに触れずに壁を 越えた場合についてはルールにも書かれていないし、過去の判例も、 審判内での申し合わせもありませんでした。 初め平光審判はこれをホームランと解釈して判定しましたが、その時の 審判団の判断によって、その場は二塁打とすることになったのです。 二塁打をホームランと見誤って判定したのでは「ありません」から注意してください。
この時点では解釈が定まっていなかったので、一旦ホームランとした判定は 「誤審」とは「言えません」。
余談ですが、これは純粋にルールの解釈の問題ですから、この判定には監督が 抗議する権利があります。(逆に本当はこういう場合しか抗議する権利はない) またこの試合はやらなかったのですが、提訴試合にすることも可能だったはず。 もし提訴していて、連盟がホームランという解釈を示したならば、 サヨナラホームランで阪神の勝ち、ということになることもありえました。
その後これが判例となって、プロ野球ではこのような打球は二塁打とする ことになったのですが、アマチュア野球側はホームランとすべきと主張。 結局1994年1月8日のプロ・アマ合同規則委員会では、このように壁の中腹に 当たってそのままスタンド・インした場合は、アマでは本塁打、 プロではエンタイトル二塁打、という異なった解釈をすることになり、 これが2001年まで続きました。 2002年からアマでも二塁打と解釈することになり、ようやく統一されました。
かつて正式名称が「東京巨人軍」であったことから、 マスコミでは慣例で「巨人」で呼んでいます。 「広島東洋カープ」を「広島」と呼ぶことがほとんどなのと大差はありません。
また中日ドラゴンズ対読売ジャイアンツの試合は、 中日対読売かドラゴンズ対ジャイアンツと呼ぶ方が対称的なので、 中日対巨人では対称的でなく変だという考えで読売と呼ぶ人がいます。 これは強要されるものではありません。
かつては、名古屋軍(現中日ドラゴンズ)や名古屋金鯱軍、大東京軍など、 軍のつくチームの方が一般的でした。 他のチームの名称変更や消滅し、「軍」を使いつづけているのは ジャイアンツだけになっています。
ヤクルトスワローズの安田猛投手をモデルにした(?)ヤスダ投手があみだした 数々の魔球が、ルールに合致したものであるかを検証します。
ボールに異物をつけているため、ボールへの細工を禁止した規則8.02(a)に違反。
投球自体は問題がないが、投げた後に打者の前でグラブや帽子を振る行為が 野手がスポーツ精神に反する意図で打者を惑わす行為を禁止した4.06(b)に 接触する可能性があるかもしれない。
打者が打席内で十分に構えていない時に投球するクイックピッチを禁止した 規則8.05(e)に違反。
投球というより、競技者として失格とみなされ退場になる可能性がある。
同上。
握り方に指が8本必要なため、特別製の手袋が必要になるが、これは 異物を身体に付けることを禁止した規則8.02(b)に違反。
電子工学と心理学の勝利で、打者に打つ気にすらさせないという魔球であるが、 ボールへの細工を禁止した規則8.02(a)に違反。 そもそも試合のために用意された公認球を使用していないこと自体が違反。
昭和52年4月29日 大洋対阪神 (川崎) 阪神7-6大洋 の9回裏大洋の攻撃、一死一塁走者野口。 打者清水の放った左中間の大飛球を、阪神の佐野仙好左翼手が捕球、 その直後にフェンスに激突して痙攣(ケイレン)してしまった(前頭部頭蓋線状骨折)。
池辺中堅手はそれを見てタンカを要請。田中左翼線審はアウトを宣告した後、 タイムはかけずに救援を求める仕草。阪神の選手もベンチも皆駆け寄る。 その間に、一塁走者野口がタッチアップして一気にホームイン、同点になった。 (記録は当初は佐野の失策だったが、後日に野手選択に訂正)
阪神側は規則に書かれた「突発事故」にあたるとしてタイムをかけるべきと抗議。 これが審判団に受け入れられず、34分間の中断後、「提訴を条件」に試合を再開。 結局時間切れで7-7の引き分けになった。
提訴を受けたセ・リーグは考査委員会を開き、これは規則で定めたところの タイムをかけるべき突発事故にはあたらないと結論、阪神の提訴を却下。
規則5.10にタイムをかけるケースが示されていて、(c)には 「突発事故により、プレヤーがプレイできなくなるか、あるいは審判員が その職務を果たせなくなった場合」と書かれている。
これだけならば、佐野選手の激突事故はタイムをかけるケースに思えるが、(h)には 「審判員はプレイの進行中に、"タイム"を宣告してはならない。ただし、本条(b)項、 または(c)項の〔付記〕に該当するときは、この限りではない」と書かれている。
(b)項はライトの故障の場合。(c)項の〔付記〕とは、本塁打や死球などにより、 走者に安全進塁権がある場合の不慮の事故の場合。 つまり、プレイ中にタイムをかけられるのはこの二つに限られる。 また、前記の(c)項の本文の「突発事故」も、攻撃側を想定したものであった。
よって、佐野選手の事故はタイムをかける場合には当てはまらず、 審判がタイムをかけなかったのは正しい処置であると結論づけられ、 阪神の提訴は取り下げられた。
規則の解釈上は正しい処置であったが、これと同時に人道上の問題として 規則を再検討することも声明。
これを受けて、そのシーズン終了後の規則委員会で、 人命に関わるような事態が生じた場合は、審判はプレイ中であっても "タイム"をかけることができ、その後の処置はボールデッドにならなかったら どうなったかを審判が判断する、という内規を設けることになった。
また、この事件が全ての球場がラバーフェンスとなるきっかけになった。
まず、打球や送球に対してグラブを投げることは 規則7.05(c),7.05(e) により 反則ですが、それ以外にグラブを投げることは禁止されていません。 よって、ボールが挟まっているグラブを投げること自体は問題ありません。
問題はそのグラブを野手が捕ったことが、通常の送球を捕球したことと 同等であるかどうかという解釈の問題になります。
規則 2.15 では「キャッチ(捕球)」を以下の通り定義しています。
「野手が、インフライトの打球、投球または送球を、 手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為」
ボールが挟まったグラブを受け取った野手は、グラブはつかんでいますが、 送球であるボール自体をつかんではいません。 以前の日本ではプロ・アマ合同規則委員会で、 「ボールが挟まったグラブを野手が捕っただけでは捕球とはみなさない。 ただしグラブの中のボールをもう一方の手で触れれば捕球とみなす。」 という取り決めがなされていました。 (ちなみに、ボールが挟まったグラブをはめても捕球とみなしていました)
ただし日本プロ野球やMLBでは、ボールが挟まったグラブを野手が捕っただけで ボール自体に触れたりつかんだりという行為がないのに、審判がアウトをコール している例が見られ、それらは特に問題視されていませんでした。
2007年からは日本プロ・アマ全ての解釈をMLBと統一し、 「ボールが挟まったグラブを野手が捕っただけでも捕球とみなす。 そのグラブを持って塁や走者への触球すれば正規のプレイとなる。」 という解釈になりました。