◇ 日本のマスコミで使われているマジックナンバー
・あるチームがある時点で自力優勝が可能とは、そのチームが残り試合全勝
すれば他チームの成績によらず優勝できること。
・逆にあるチームがある時点で自力優勝不可能とは、そのチームが残り試合
全勝しても他チームの成績によっては優勝出来ない場合があること。
ここで、1チームにのみ目を付けて、そのチームが残り試合全勝するという
仮定をおきますから、他チームはそのチームとの残り全対戦は負けとして
計算します。
次にリーグ所属のどのチームにもある時点で自力優勝不可能となることは
ありません。
これを踏まえて、リーグ所属のある1つのチーム(Aチーム)が自力優勝可能であり、
優勝可能性のある他のどのチームも自力でAチームの勝率に追い付くか
上回ることができないときに、Aチームにマジックナンバーが点灯します。
Aチームとは多くの場合首位にいるチームですが、下位チームでも可能です。
Aチームにマジックナンバーが点灯している場合は、他の全てのチームは
自力優勝不可能になっています。
Aチームだけが自力優勝可能で、他の全てのチームは自力優勝不可能であっても、
Aチームにマジックナンバーが点灯しないこともあります。
Bチームが自力でAチームの勝率に追い付くか上回ることができるのに、
自力優勝不可能なCチームを自力で上回れないために、
Bチームも自力優勝不可能となる場合があるためです。
次にマジックの計算法です。仮にリーグ所属がA〜Fの6チームとして、Aのみ自力
優勝可能で、B〜Fは自力優勝不可能とします。このとき仮定により、AはBとの残
り試合に全敗してもC〜Fとの残り試合に全勝すれば、BがC〜Fにも全勝しても、
少なくともBよりは勝率が上になります。そこで、Bが残り全勝しても、Bより上位
で終るためにC〜Fとの残り試合で最低何勝挙げればよいかを計算し、その最低勝
ち数を仮にBに対するマジックと呼ぶことにしましょう。BをCにおきかえても同じ
ことが言えますから、同様にCに対するマジックを計算します。D〜Fについても
同様に求めます。B〜Fに対するマジックの中で最大のものをその時点での
優勝マジックといいます。あるチームに対するマジックが優勝マジックと等し
いとき、そのチームをマジック対象チームと呼びます。マジック対象チームは
複数のときもあれば、時間とともに変わることもあります。
優勝マジックだけ勝てば、その構成法により、どのチームよりも上位で終るのです
から、まさしく「あと何勝すれば優勝できるか」を表す数に等しくなります。
ただし、1チームを除いて他のどのチームも自力優勝できない場合に限ります。
また、マジック点灯チームが必ずしも首位チームでないのと同様に、マジック対象
チームも2位チームとは限りません。
よく解説者が開幕時に、「(140試合制なら)マジック140のつもりで戦え」
なんてことを言いますが、これは2重の意味で誤りです。
まず開幕時にはどのチームも自力優勝の可能性があり、
直接対決により相手チームが負けることを考慮すれば、全勝の必要はありません。
このマジックナンバーは、「自力優勝」に主眼が置かれているため、
優勝への有利さを示す数字としては万能ではありません。
簡単な例として以下の欠点があります。
・優勝の可能性があるチーム同士の直接対決だけが残った場合、
どちらのチームにも自力優勝の可能性があるためマジックナンバーが点灯しない。
つまりどちらのチームが有利なのかをマジックナンバーで示せない。
・優勝の可能性があるチーム同士の直接対決がなくなった場合、
残り試合を全勝すると仮定し一番上になるチームにマジックナンバーが点灯する。
残り試合に大きな差がある場合、現実にそれだけ勝つのが困難な下位チームに
マジックナンバーが点灯することがあり、数字上の有利/不利と一致しない。
◇ 大リーグで使われているマジックナンバー
magic number とは、「首位のチームが地区またはリーグ優勝するために必要な
首位チームの勝数と2位チームの敗数の和」であり、計算方法は
magic number = (2位チームの勝数)+(2位チームの残り試合数)
−(首位チームの勝数)+1
この定義によると、大リーグの162試合制でのシーズン当初のマジックは 163 に、
日本プロ野球の140試合制でのシーズン当初のマジックは 141 ということになります。
2位チームの負け数が計算にはいっているところがミソです。
また、この定義では、あるチームが全日程を終えて、他のチームの結果を
待っている場合でも待っているチームにマジックがでていることになります。
さらに、定義を自然な方法で拡張すれば、優勝の可能性がある限り
マジックが点灯していることになります。
もちろん、マジックは、シーズン終盤で優勝を決定するために使うものである、
ともかかれています。
さらに、この用語やコンセプトは(メジャーの歴史に比べて)最近の
もの -- 1940 年代か多分それより少し以前だろう --- とあります。