◇ 失点について
失点とは、いかなる理由があろうとも、その投手が許した走者
(打者走者を含む)が得点した数のことです。
◇ 同一イニングに2人以上の投手が出場した場合の失点
走者を残して投手が交代した場合は、その走者の数だけ前の投手に責任がある、
というのが原則です。したがって、前任投手が走者を残して交代し、その走者
(あるいは、内野ゴロなどで入れ替わった走者)が得点すれば、その失点は
前任投手につきます。
(例)二死二塁で投手Aから投手Bに交代。投手Bは次打者にタイムリーを
浴びたが後続を抑えた場合、失点は投手Aにつきます。
ただし、残した走者が走塁死、盗塁死、牽制死、他の打者/走者と
併殺になった場合は、残した走者がアウトになったわけですから、
前任投手の責任がその分だけ軽くなります。しかし、上述の通り
単に走者が入れ替わっただけでは責任は軽くなりません。
(例)一死一塁で投手Aから投手Bに交代。次打者の内野ゴロで一塁走者は
二封。次打者が三塁打で一塁走者生還。その次が内野ゴロで攻守交代。
生還した走者は投手Bになってから出塁した走者ですが、内野ゴロに
よる入れ替わりなのでその責任は前任投手にあります。すなわち、
この失点は投手Aにつきます。
(例)一死二塁で投手Aから投手Bに交代。次打者のヒットで二塁走者は
本塁憤死。この間に打者走者は二塁へ。その次の打者もヒットで今度は
二塁走者が生還。次打者凡退。
この場合、前任投手が走者を残さなければ、打者走者は二塁へ進めなかった
でしょうが、記録上は最初の本塁憤死で前任投手は残した走者がアウト
(走塁死)になったので責任解除となり、失点は投手Bに記録されます。
つまり、走塁死がからむと入れ替わりとは判断されません。
(例)無死一塁で投手Aから投手Bに交代。次打者サードゴロで 5-4-3 の併殺。
直後にソロ本塁打。これはもちろん投手Bの失点です。
(例)無死一二塁で投手Aから投手Bに交代。次打者はサードゴロで
5-5-4-3 と渡ったが一塁はセーフで二死一塁となり、次打者が2ラン
本塁打。前任投手は確かに二人走者を残しましたが、併殺があったため、
そのうち一人はアウトで責任解除、もう一人は打者走者と入れ替わりで
一塁へ残ったと解釈します。したがって、投手Aの失点は最後の一塁走者が
得点したことによる1、投手Bのそれは本塁打を打った打者の得点による1となります。
◇ 自責点について
自責点とは、投手が責任を持たなければならない失点です。
失点では、野手の失策などが絡むので投手本来の能力を表すとは限りません。
自責点は、この欠点を補う、投手の投球に関する能力を評価する1つの指標です。
◇ 自責点となる失点は?
守備側が相手チームの選手を3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、
安打、犠打、犠飛、盗塁、刺殺、野手選択、四死球(故意四球を含む)、
ボーク、暴投により、走者が得点するたびごとに記録されます。
野手の選択ミスにより取れるはずのアウトを取れなかったような場合は
投手に責任はありませんが、自責点の対象になると定められています。
◇ 自責点とならない失点は?
自責点に含んではならない要素は失策と捕逸です。ここにいう失策とは、
守備失策の他に、打撃妨害で捕手または野手に失策がついた場合、
走塁妨害で野手に失策がついた場合、ファウルフライ失の後安打その他で
一塁を得た場合を含みます。(以下同じ)
走者が得点した際、その走者が失策や捕逸の助けを借りて、
・一塁に生きた場合(参考: 規則10.18(b)【注】)
失策や捕逸によってアウトを免れた走者に対して、打者の行為に起因
した野手の選択守備の結果、打者が一塁を得た場合を含みます。
・二、三塁に進塁した場合(参考: 規則10.18(d)【注1】)
失策や捕逸の助けを借りて進塁したが、その後の自責点となる要素に
よって当然進塁して得点できたと公式記録員が判断した場合を除きます。
(長打により得点したので失策や捕逸がなくても得点できていたはず、など)
・本塁を得た場合
自責点とはなりません。
特に、失策によりアウトになるはずだった走者が生きて得点しても、
自責点とはなりません。
(例) 四球で出た走者が捕逸で二進、
・直後の単打で生還した場合は自責点にならない。
・三塁打以上の長打で生還した場合は自責点となる。
原則的には、失策や捕逸がなかったらその点が入っていたかどうかを判断して
自責点とするかどうかを決めるということになります。
(例) 一死三塁に自責点対象の走者が、内野ゴロエラーの間に得点
・エラーがなければ得点になっていなかったと判断されれば自責点にならない。
・エラーがなくても得点になっていたと判断されれば自責点になる。
「失策や捕逸がなかったら」のタラレバを考慮する時、バントや犠牲フライは
内野ゴロや外野フライと同等の扱いになります。
(例)先頭打者Aヒットで出塁、次打者Bのバントが失策となって無死一二塁。
次打者Cバントで一死二三塁。次打者Dがスクイズで1点、その次の打者が凡退。
Bのバントで一死二塁となっていれば、Cはバントするはずがなかった、
とは考えません。また、二死ならDがスクイズするはずがない、とも考えません。
したがって、この場合の自責点は0です。