『…え、えっと』
俺は一生懸命考えていた。
どうして、俺の左腕を枕に、女の子がすやすやと寝ているのだろうかって事を。
しかも、しかも…だ。
俺は裸だった。で、感触からして、横の女の子も裸だろうって事もわかる。
『それから…』
知らない…いや…知っている天井だった。それもそのはず、ここは俺の部屋だ。そこまでは良いとして、確か学校から帰って来た後、食事して、のんびりしていたら義妹の葉月が「ケーキ買ってきたの♪」って紅茶と一緒に持ってきて、宿題を見てやって……その後眠くなって……そっと顔を見てみると、俺の腕にほおずりしているのは…やっぱり葉月だった。
『ど、どうして葉月が…しかも裸!? まさか俺が…』
ふと見ると、もうすぐ日付が変わる事を腕時計が告げている。
『と、とにかく、ここから……』
俺は葉月を起こさないように、ベッドから抜け出そうとしたが、
「おにいちゃぁん…」
ぎゅっと抱き着かれ、思わず動けなくなった。
『う…や、やばい…』
あまりの感触の気持ち良さに、悲しいくらい俺の身体が反応した。
しかも抱き着いてきた拍子に、葉月の太股が俺のに触れている。
まずいと考えれば考えるほど、俺のがどんどん固く大きく、そして熱くなっていく。
とにかく逃げないとヤバイ。気付かれないようにゆっくりと身体を葉月から離す。
よし。なんとかもう少しでベッドから抜け出せそうだ、と思った瞬間、
「え!?」
俺は思わず声を上げていた。
葉月の手が、そっと俺の熱い楔に触れて来たからだった。そればかりか、軽く握るようにしてくる。
ま、まさか…こいつ。
「は、葉月! お前起きてるのか?」
ピクッと葉月が震えた。しかし
「……」
聞こえて来るのは規則正しい寝息だけだった。そう、不自然なほど規則正しかった。しかも、さっきよりも大胆に俺のを握りしめてくる。
「よ、よせよ。葉月…起きてるんだろ」
「……」
「い、いいかげんに……」
「…寝てるのよ、わたし…これは夢なの」
本当に聞こえるか聞こえないかというくらいのささやき。
「夢だから…ね…今、何されてもわからないの…」
一瞬、葉月は何を言ってるのか理解出来なかった。
そして、理解した瞬間、俺は葉月の身体から薫る、甘い匂いに眩暈を起こした。
「だ、だって…」
それでも俺は葉月から逃げ出そうとしていた。
理由はわからない。
だた逃げないといけないと思ったからだ。
「…う、うーん」
すると葉月は寝返りを打つように俺の方に寄ってきた。そればかりか俺の左腕を身体全体で抱き込むようにしてくる。そして、柔らかな太股で俺の手首は挟み込まれ、動けなくなっていた。
そして…、
「え?…あ…こ、これって…は、葉月…」
「……」
手首に触れる、熱くぬるりとした感触。
少し動かすと、葉月はふるふると身体を震わせた。
「わたしは…寝てるの…おにいちゃん…」
太股を擦り合わせるようにしてくる葉月。俺も少しずつ…少しずつだけど、挟まれた手首で葉月の熱く濡れた泉を擦り上げていた。
「…ぅ…はぁぅ…ぁ…」
葉月の熱い吐息。
「…や…だ…」
葉月の甘い薫り。
「おにい…ちゃ…ん」
葉月の柔らかな躰。
「…気持ち…いい………んん…」
葉月の熱い唇に俺の唇がそっと塞がれる。
「葉月!」
俺はいつしか葉月を抱き締めていた。
理性とかいけない事だなんて、もう考えられなかった。
葉月をもっと気持ち良くしたい。
葉月の声をもっと聞きたい。
葉月と…一つになりたい。
・
・
・
俺は葉月を俺の下に組み伏せた。
「お、おにいちゃぁん…」
葉月の潤んだ瞳が俺を映している。
「葉月は寝ていて夢を見てるんだろ。じゃなきゃ、俺のベッドの中に、しかも裸でいるわけないもんな」
その言葉に葉月は恥ずかしそうに瞳を閉じた。
「…葉月」
唇を合わせるだけのキス。そしていつしか深いものに変わっていた。
葉月の舌に絡ませ、吸い上げ、上顎を舌で擦る。
「…っはぁ…ぁ…」
唇を離すと、葉月の唇から残念そうに聞こえるため息が聞こえた。
もう一度軽くキスをして、今度は葉月の胸に口づけた。
「んぅ!」
躰をビクリと震わせる。
舌を這わせるだけで形を変える葉月の柔らかい胸。
くんっとかぐと、ミルクのような甘い薫りがする。
コロンとも違う。
葉月の薫り。
「柔らかいな、葉月の胸は」
「…ん……あっ…やぁ…」
声のトーンが上がる。
舌を胸に這わせながら、もう一方の胸を掌で触れるか触れないかくらいで撫で回し始めたのだ。
細かく躰を震わせる葉月。
どんな事をされるのか見えないのだから、余計に感じるんだろう。
今度は両手で胸を愛撫しながら、舌を這わせ始める。
やわやわと軽く指で弄りながら、固くなった突起を舌で突っ突き、軽く噛んだりしてやると、葉月は可愛らしい声をひっきりなしにあげた。
ふと見ると、葉月はぼんやりと瞳を開けている。
「ほら、目を閉じて。葉月は夢を見てるんだからね」
「…うん。葉月は夢を見てるの。おにいちゃんに弄られる夢を」
また瞳を閉じる。
舌が胸からゆっくりと下へ降りて行く。おへそに舌を軽く捩じ込むと、がくがくと震えて声を上げる。
「さあ、足を開いて。葉月」
「…恥ずかしい」
「これは夢なんだから、恥ずかしい事なんか無いよ」
「はぁ…ぅ…」
耳もとでささやくと、甘い吐息とともに。ゆっくりと足から力が抜けていった。
「葉月…」
俺の舌が、熱く甘い水蜜を湧き出し続ける泉に届こうとした瞬間。
「葉月ー。もう寝ちゃったかい。お友達から電話だよー」
階下から、おふくろの声が聞こえてきた。
一気に血の気が引いた。
葉月も同様だった。
「すぐに降りるから、保留しておいてー」
葉月の返事に、おふくろの声は聞こえなくなった。部屋に戻ったんだろう。間一髪だった。
「じゃ、じゃあ、おにいちゃん」
「あ、ああ…」
慌てて出ていく葉月…え、戻ってきた?
「今日はもう夢から覚めちゃったけど、……また夢を見に来るから。おにいちゃんの夢を……ん」
「!?」
軽くキスして部屋を出ていく葉月の背中を見ながら、俺はベッドに倒れ込んだ。
『また夢を見に…って』
俺は階下から微かに聞こえる葉月の楽しそうな声を聞きながら、さっきまでの事は本当は俺が見ていた夢だったんじゃないかと思いながら眠りに落ちていた。
・
・
・
朝、一糸纏わぬ葉月が、俺の腕を再び抱き込んだまま寝ているのに気づくまでは……。
・
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そして、その夜から、葉月の【夢遊病】が始まった。
10000Hitおめでとうございます\(^^)/
拙い文章ですが、葵日向さんへのプレゼントとして書きました。
書いていると、どんどん長くなってしまいそうなので、短くまとめてみました。
予想以上にカウンターの伸びが早くて、も少し後から書こうとか思っていたせいで
危うく間に合わなくなるところでした(^^;
これからも葵日向さんのご活躍を心よりご期待申しあげます_(__)_
99/12/16 ちょと修正(^^;